当ブログでは合同会社をオンラインで設立する方法をステップバイステップで解説します。 “会社の設立”と聞くと複雑そうなイメージをお持ちの方もいると思いますが、このブログを読んでいただければ独力で簡単に合同会社を作れるようになります。
合同会社とは?
そもそも合同会社とは?というところですが、合同会社は会社法で認められている会社の一形態で、株式会社などと同じく、社員(出資者)は全員有限責任(最大でも出資額がゼロになるだけ)しか負いません。 株式会社と比較すると、設立や設計の自由度が高いというメリットがある一方で、株式会社ほどは知名度がないため、信用力が劣るようなイメージを持つ方がいるという点がデメリットともいえそうです。 信用力を気にする必要がない外資系企業の日本法人は合同会社の形態をとることが多く、例えば、アップル、Google、Amazonの日本法人はすべて合同会社の形態をとっています。 合同会社といえども法人(法律上の存在)ですので、その設立に当たっては法律に従った対応が求められ、それなりな手続きが必要となります。
合同会社の設立の方法
合同会社を作るには行政書士等に依頼するとが最も手間もかかりません。 したがって、会社設立の手間や時間をお金で買いたいという方は間違いなく専門家に依頼したほうが良いと思います。 ただ、独力で設立することも十分可能ですので、コストを抑えたい方、時間の余裕がある方は独力で対応してみてはいかがでしょうか? 副業等でできるだけお金をかけずに会社を作ってみたいという方は是非独力で設立してみてください。 独力あれば6万円+諸経費で合同会社を作ることが可能です。 法務省もコロナ禍対応からか、オンラインでの登記申請を推奨しており、環境が整いつつあるので筆者のおすすめは完全オンラインでの設立です(法務省のオンライン申請のリンクはこちら)。 オンライン設立の場合はマイナンバーカードやカードリーダーなど、準備すべき物はいくつかありますが、最近はe-tax等を使っている方も多いと思いますので、すでに持っている方も多いのではないでしょうか。 なお、完全オンライン申請は合同会社を以下の形態で設立することを前提としています。
- 設立する本人による申請(代理人を使わない)
- 社員(出資者)が1人で、その者が代表者になる
- 出資の目的が金銭のみ(現物出資はない)
オンライン設立のメリットとデメリット
オンラインで設立するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 登記所等に行く必要がないので、移動時間の短縮や感染リスクを抑えられる。
- 営業時間を気にすることなく、作業を進められる。
- 電子定款を作成することになるので、書面で定款を作成する場合と比較すると4万円の節税になる。
デメリット
- カードリーダーなど必要となるデバイスやアプリがある。
- わかりにくい。
デメリットの1つ目について以下確認してみます。
合同会社のオンライン設立に当たって必要なものとコスト
合同会社を完全オンライン設立する際に必要なものは以下の通りです。
- PC
- マイナンバーカード
- カードリーダー
- Adobe Acrobat DC
- 印鑑(厳密にいうと、設立するだけなら不要です)
- 登録免許税(6万円)
いくつか補足します。
カードリーダー
これは作成した書類の電子証明を行うために必要です。 カードリーダーの指定はありませんが、マイナンバーに対応しているかどうかは確認してください。 筆者はこれを使っています。
Adobe Acrobat DC
オンライン申請を行う場合、作成した書類に電子証明書を付す必要があり、その際に必要なアプリとなります。 Adobeのリンクはこちらです。 StandardとProの2つがありますが、どちらでもOKです。 これが結構高いです。 仕事等ですでに契約済みの人は追加支出はないのですが、契約していない方は痛い出費になり、もしかするとオンライン申請の一番のハードルになるかもしれません。 Standardでも月3,000円弱ですので、高額とは言わないまでもそれなりな金額です。 裏技として、Acrobat Pro DCは7日間は無料で使えるので、その期間に電子証明を行えば支出なしで完了することもできます。 電子証明書の付与自体は簡単に終わる作業なので、7日間もあれば十分すぎるくらいなのですが、登記所から提出物の訂正等が入り、再度電子証明を行う場合は7日間の期限を過ぎてしまう可能性があります。。。 したがって、無料トライアルで対応する場合は、他の書類等の準備を行ったうえで申し込むようにしましょう。
合同会社設立の順序
合同会社をオンラインで設立する際の順序を追って説明します。
- 会社名を考える。
- 印鑑を作成する。
- 必要書類を作成する。
- 必要書類の電子証明を行う。
- 登記の申請を行う。
- 設立完了。設立後にやることの対応
①会社名を考える。
当たり前っちゃ当たり前ですね。まずはこれを考えましょう。 これを一番にした理由は、会社名を考えないと印鑑を作成できないためです。
②印鑑を作成する
会社名が思いついたら印鑑を作成します。 業者にもよりますが、オーダーしてから数日から1週間程度でできると思います。 当然、印鑑をオーダーしたら支払い義務が発生しますので、慎重に検討しましょう。 印鑑作成の業者は適当にググれば見つかると思います。 なお、印鑑の作成代金は会社設立後に合同会社の経費になるので請求書は保管しておきます 当然会社設立前ですので、とりあえずは設立する方が立替払いを行うという形になります。
③必要書類の作成
“会社設立”というと大量の書類を作成する必要があるのでは?と思われるかもしれませんが、合同会社は非常にあっさりしています。 合同会社をオンラインで設立する際に最低限必要な書類は以下の通りです。
- 定款
- 決定書
- 払込があったことを証する書面
- 代表社員の就任承諾書
- 印鑑届出書
※会社設立に関する書籍を見ると設立登記申請書という書類が出てきますが、こちらはオンライン申請の場合は申請画面で直接入力するため不要です。 聞きなれない書類が出てきて困惑するかもしれませんが、法務局のウェブサイトにひな形(リンクはこちら)があるので、そちらを参考にすればよいと思います。 ひな形を見ても「何書いていいかよくわからん」という場合は、本屋に行けば会社設立に関する本が山ほどありますし、適当にググれば参考事例が出てくると思いますので、参考にしつつ、自社にあった内容を記載してください。 なお、間違えていたりした場合は登記官の方が優しく教えてくれますので、気にしすぎなくても大丈夫だと思いますが、上述の通り、Adobeの無料期間で対応する方は時間の制約があるため要注意です。 これら書類はワード等で作成⇒PDF化⇒電子証明の付与という形になります。 電子証明のやり方がネックになると思います。こちらは別ブログで説明する予定ですので、少々お待ちください(現在作成中です)。
ネット銀行の場合の払込があったことを証する書面の対応
まず出資金の払込ですが、(まだ会社設立前で会社の銀行口座はできていないため)出資者個人の銀行口座を使います。 具体的には、出資者個人のA銀行の口座からB銀行の口座に振り込みを行い、B銀行の口座の通帳の取引明細書を添付することで、払込があったことを証明することになります。 「払込があったことを証する書面」はひな形の証明書と通帳の取引明細書を1つのPDFデータ(1ページ目がひな形の証明書で2ページが通帳のコピーのイメージ)に結合することで作成します。 ここで、最近だとネット銀行を利用している方も多く、通帳がないという方も多いと思います(筆者もそうでした)。 その際、通帳のコピーをどうするの?と疑問がわくと思います。 ネット銀行などで通帳がない場合は、PCやスマホ等で出資者から払込(振込)が行われていることを確認できる画面のコピーをPDF化し、前述の証明書と1つのPDFデータに結合することでOKです。 なお、PDFデータの結合は例えばAdobeの場合は以下の通り、「ツール」⇒「ファイルを結合」と選択して作業を行います。

登記の申請
必要資料の準備ができたら設立登記をオンライン申請を行うための手続きに移ります。 こちら法務局の登記・供託オンライン申請システム(リンクはこちら)を使うのですが、非常に手順がわかりにくく、別ブログで解説しますので少々お待ちください(現在作成中です)。
会社設立後にやること
会社設立後にやることについて以下簡単に解説します。
- 印鑑カードの取得
- 印鑑証明書等の取得
- 銀行口座の開設
- 税務署等への届け出です。
①印鑑カード取得
設立登記の完了通知を受け取ったら、まずは印鑑カードを取得しましょう。 ここまで散々オンラインでの手続きの説明を行っていましたが、(筆者が知る限りですが)印鑑カードの取得については、オンラインでは手続きできないように思われ、所管の法務局に出向く必要があります。 出張所等でも対応可能な場合もありますので、最寄りの法務局や出張所にご確認ください。 印鑑カードを取得する際には登記際に届け出た印鑑届出書に押印した会社印が必要になるので、忘れないでください。
②印鑑証明書等の取得
次に印鑑証明書や登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)を取得しましょう。 取得が必須というわけではないですが、次の銀行口座の開設の際に必要になると思います。 こちらはオンラインで取得することも可能ですが、上記の①印鑑カードを取得した時に合わせて取得するのが手間がかからず良いと思います。
③銀行口座の開設
ここまで来てようやく銀行口座を開設することができます。 具体的な手続き等は口座を開設する金融機関次第ではありますが、上記で取得した印鑑証明書等や銀行印にする予定の印鑑を持っていきましょう。 口座開設後、出資金相当額を個人口座から、開設した法人口座に移し替えます。
④税務署等への届け出
会社設立後は所管の税務署等に開業の届け出をする必要があります。 登記によって税務署等は新しく会社が設立したことを把握しているため、届け出をしなくてもそのうち通知が来ることもあるそうですが、いずれにしても早いうちに対応しておく方がよいでしょう。 必要書類等ですが、こちら”法人設立ワンストップサービス”というのが2021年2月26日から運用されており、非常に便利だと思うので、こちらを使用するのがよいと思います(リンクはこちら) こちらについてもそのうち別ブログで解説しますので、少々お待ちください(現在作成中です)。