中古マンションの売買契約に関する手続きについてまとめました。
住宅ローン特約の有無については必ず確認しましょう。
中古マンションの売買契約書のドラフト版の提示
事前審査が通った後は売買契約の話になりました。
売買契約書の締結の前に不動産屋から売買契約書、重要事項説明書のドラフト版が送られてきました。
なお、売買契約書と重要事項説明書は別の書類ですが、2つで1セットのようなものですので、当ブログ上は2つをまとめて売買契約書と呼びます。
不動産屋には事前に送ってこない担当者もいると聞きましたが、非常に重要な書類ですので、必ず事前に送付してもらって目を通しておいた方がよいです。
不動産屋は基本的に売主側の人間ですので、買い手の場合は特に慎重に検討したほうがよいと思います。
不動産流通経営協会(FRK)ひな形と全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)ひな形の売買契約書
我々のような個人が不動産の売買する際の契約書のひな形には、私が調べた限り、上記2つの契約書ひな形があるようです。
今回私が不動産屋から提示を受けたひな形はFRKひな形でして、例えば物件の瑕疵があった場合の契約不適合責任について売主は以下の場合にのみ責任を負うことになっています。
ひな形のリンクはこちら
- 雨漏り、シロアリ、建物御構造上主要な部位の木部の腐食及び給排水管の故障⇒買主が物件引き渡しから3か月以内に請求したもののみ
- 主要設備⇒買主が引き渡し完了から7日以内に請求したもののみ
かなり、買主には厳しい内容ですよね。
これが例えば全宅連ひな形であれば以下の通りです。
- 引き渡された物件に契約不適合があるとき⇒売り主の責に帰すことができない事由によるものを除き、修補、損害賠償請求をできる。
FRKの方では契約不適合の範囲を狭めたうえで期間もかなり短い期間になっているのに対して、全宅連ひな形では範囲の限定はありません(期間は別途定めることになっており、一概にどれくらいの期間とはなっていません)。
このあたりの比較については、こちらの文書が大変参考になりました(リンク)。
不動産に限らず契約は2人以上の当事者がいる以上、どちらかの当事者に有利に作られていることが多いと思います。
上記ひな形で言うと、相対的にFRKは売主に有利、全宅連は買主に有利な内容と言えると思います。
というわけで、FRKひな形だと売主に有利すぎるので全宅連ひな形にしてほしいということを不動産屋に伝えたのですがこれは一蹴されました。
不動産屋の言い分としては大手はすべてFRKひな形を使っているし(今回の不動産屋は財閥系の超大手です)、自社もFRKひな形しか用意しておらず、全宅連ひな形だと一から作らなければならずそんな時間的猶予はないとのことでした。
まあこの点は喧嘩してもしょうがないし、じゃあ買うのやめるか?というほどの物でもなかったので、文句はつけたものの、おとなしく引き下がりました。
ただ、本物件は後述の通り、リフォームを行う予定だったため、売買契約締結後から融資実行までの間で売主はリフォーム業者の現地調査に協力するという一文を入れてもらうことについては了承をもらいました。
中古マンションの売買契約書の記載事項
売買契約書は基本的に上記のひな形にそって作成されるので、特にネタはありません。
あえて言うと、住宅ローン特約でしょうか。
中古マンションの住宅ローン特約
住宅ローン特約というのは売買契約は締結するものの、その後万が一住宅ローンの審査が下りなかった場合に手付金なしで売買契約を解約(白紙解約)することができるという特約になります。
住宅ローン特約以外の要因で売買契約を破棄する場合は手付金を没収されます。
売買契約締結前に住宅ローンの仮審査は通っているのが通常ですが、仮審査が通っているからと言って本審査に必ず通るものでもありませんので、住宅ローン特約は買い主保護の点から重要な内容になります。
仮に住宅ローン特約がなかった場合、売買契約締結後住宅ローンの承認が下りなかった場合、手付金を放棄しなければいけないという地獄のような展開になります。
住宅ローン特約は売買契約書でその取扱いを明確にします。
具体的には、『どこどこの金融機関から住宅ローンの承認を取れなかったら手付金なしで解約(白紙解約)できる』ということを明示します。
いくら売買契約書に記載した金融機関以外から住宅ローンの審査が下りなかったとしても、それだけでは白紙解約をできません。
また、融資承認取得期日も定められており、その期日までに該当する金融機関に申し込み行いかつ、承認が下りないという結果がなければ住宅ローン特約は使えません。
したがって、売買契約を締結したものの、やっぱり気が変わったので住宅ローンの申し込みをしなかった場合、「承認が下りない」という状況ではないため、白紙解約をすることはできません。
筆者の場合この融資承認取得期日は7/23でした。売買契約の締結からちょうどひと月です。
ひと月という期間が一般的なのかどうかはわかりませんが、実際に承認を得たのは7/7だったため、2週間程度余裕があったことになります。
ただ、当時は本当に間に合うのは毎日不安でしたし、間に合わせるためかなりバタバタしたので、不動産屋と協議が可能であれば余裕ある期日を設定してもらった方がよいと思います。
また、住宅ローン特約の対象となる金融機関は通常仮審査を申し込んだ金融機関となるようです。
筆者の場合は仮審査を申し込んだSMBCとみずほの都銀2行でした。
売買契約の締結
売買契約の締結は6/23の水曜日でした。物件がウェブサイトに登場してから15日、内見をしてから11日という非常にあわただしいスピード感です。
上記の通り、売買契約書や重要事項説明書のドラフトは入手しており、一読はしていたため、この段階では特にもめることもなく、淡々と進んでいきました。
まずは買主の我々に対して1時間程度不動産屋さんが説明していただき、後半一時間は売主も参加して相互の理解に齟齬がないかの確認という手順を取りました。
中古マンション購入におけるホームインスペクションの実施。売買契約締結前にインスペクションを実施するか。
時系列的には逆になるのですが、ホームインスペクションについても触れたいと思います。
ホームインスペクションとは?という話についてはインターネットでググるといくらでもヒットすると思うので、詳細な説明は割愛しますが、要は購入予定物件に瑕疵がないか否かを専門の人に調査してもらう仕組みになります。
例えばトイレの水が流れないとかそういった瑕疵があったとしても通常内見で端から端までチェックするわけではないですし、住み始めるまで何か問題があったとしても気づかないケースも多いため、調査のプロにチェックしてもらうというのは有益だと思います。
他方で、不動産屋からは「インスペクションの結果が出るまで売買契約を締結しない」という対応は取れないと言われました。
つまり、インスペクションの結果が出るまで売買契約の締結を先延ばしした場合に、他の買い手がインスペクションなしで売買契約を締結する意向を示した場合、他の買い手を優先するというものでした。
インスペクションをしてくれるな、というよりは、売買契約は早く締結してくれという趣旨と理解しました。
世の中の中古マンション購入に関する書籍などを見ると「インスペクションをしましょう!」という話は出てきますし、筆者自身もやる方向で当初は考えていました。
ただ、別ブログでも記載した通り、今回のマンションは筆者にとって待望のマンションですし、この機会を逃したくないという思いで、インスペクションはやらないという判断を下しました。
もちろん、インスペクションの結果が出る前に売買契約を締結し、融資実行までにインスペクションをするという選択肢もあったのですが、筆者は水回りなどの主要設備はリフォームで交換する予定でしたし、よっぽどの重大な瑕疵がない限りは手付金を放棄して売買契約をキャンセルすることはないと考えていたので、インスペクションをする意味はないと考え、結局インスペクションはやりませんでした。
やった方がよかったのか否かはわかりませんが、現時点では何も問題は出てきていないため、後悔はしてません。