育休を取得した際には社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の支払いが免除されるということを耳にしたことがあると思います。
では、仮に育休を取得する時期を自分で選べるとした場合、金銭的な面だけを考えると、いつ取得することがベストか考えたことはありますか?
先に答えを言うと賞与支給月に取得することがベストです。
実は育休中に免除される社会保険料は、給与だけでなく、賞与も対象になります!
育児休業等期間中の保険料免除
日本年金機構(リンクはこちら)のウェブサイトには、育休による社会保険料の免除の制度について以下の記載があります。
育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が育児休業の期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担につき免除されます。
社会保険料の徴収が免除される期間については、以下の通り記載があります。
保険料の徴収が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)までです。
赤マーカーを引いた個所がポイントになりますが、文章で読んでみてもよくわからないですよね?
以下具体的を用いて説明します。
- 6/15~7/15まで育休を取得した場合
- 育児休業等開始月:6月
- 終了予定日(7/15)の翌日(7/16)の月の前月:つまり6月
- この場合は、6月の社会保険料が免除されます。
- 6/15~6/18まで育休を取得した場合
- 育児休業等開始月:6月
- 終了予定日(6/18)の翌日(6/19)の月の前月:つまり5月
- この場合は、免除されません。
- 6/30に育休を取得した場合
- 育児休業等開始月:6月
- 終了予定日(6/30)の翌日(7/1)の月の前月:つまり6月
- この場合は、6月の社会保険料が免除されます。
- 6/15~8/31まで育休を取得した場合
- 育児休業等開始月:6月
- 終了予定日(8/31)の翌日(9/1)の月の前月:つまり8月
- この場合は、6月~8月までの期間の社会保険料が免除されます。
育休はいつ取るのがおすすめ?月中?月末に
②と③を比較していただくとお分かりの通り、月末をまたいで休むことが非常に重要です。
特に③のケースであれば、1日しか休んでないにも関わらず6月の社会保険料が免除されます。
また、月末が休日の場合のルールははっきりとした明文のルールはないところなので、慎重に判断するなら、月末最終営業日と翌月最初の営業日の2日を休んだ方が安心です。
育休は賞与支給月にとるべき
ここまで社会保険料は免除と説明してきましたが、ここでいう社会保険料は給与に関するものだけでなく、賞与に関するものも含まれます。
したがって、育休を取得する時期を調整できるのであれば、賞与支給月に育休を取得することがベストです。
「そんな自由に育休の期間を調整できないよ」とおっしゃる方が多いと思いますが、その際は自社の人事部に相談しましょう。
なぜなら社会保険料を免除されるのは被保険者(あなた)だけではなく、会社の支払いも免除されるため、会社にとってもメリットがあります。
なお、「社会保険の免除」は払ってはいないけど払ったことにするという意味ですので、将来の年金の支給額や、健康保険で不利な扱いは受けないのでご安心ください。
パパ休暇制度の活用
「じゃあ、毎月月末育休取得すれば社会保険料をずっと払わなくていいんじゃないの?」と思ったあなた。
残念ながら、育休は一人の子供につき原則1回までですので、毎月取得することはできません。
ただし、パパ休暇制度というものもあり、ママの出産後8週間以内の期間内にパパが育児休業を取得した場合、特別な事業がなくても再度パパがもう1回育児休業を取得できます(パパママ休暇制度に関する厚生労働省のリンクはこちら)。
したがって、パパ休暇制度を使えば、パパは2回育休による社会保険料の免除が受けられることになります。
育休の制度等についてはこちらのブログをご参照ください。
産休と育休に関するお金に関する制度を中心に解説しました。産休、育休期間中は働くことができないため、お金の面で不安を感じる方も多いと思いますが、様々な制度があるため、積極的に利用しましょう。本ブログでは、産休、育休に関するお金の話[…]
育休中の社会保険料の免除規定の見直し?、日経新聞の記事より
上記でお得な育休の取り方をご紹介しましたが、どうやら将来的には風向きが変わりそうです。
2020年11月26日の日経新聞の記事によると、社会保険料の支払いが免除される条件が賞与、給与それぞれ以下の判定基準に変える方針になったそうです。
- 給与:同じ月に2週間以上の育休を取得したかどうか
- 賞与:連続一カ月超の育休を取得したかどうか
残念な改正ではあるものの、制度趣旨からすると明らかにおかしい制度ですので、改正は致し方ないのではないしょうか。
なお、2022年度に見直すそうですので、2021年は現行制度のままとなりそうです。
日経新聞の記事のリンクはこちらです。
さらに2020年12月6日には、現行の「月末に育休を取得している」という要件を緩和し、同じ月の中で通算2週間以上取得する人も対象に加えるという記事も出ていました。
こちらの日経新聞の記事のリンクはこちらです。